新型コロナワクチンとアレルギー反応

2021/03/04

3月4日8:00AM、青森市は快晴です。

朝出勤して暖炉に火を入れる作業もそろそろ終わりかと思うと、嬉しいやら寂しいやらで複雑です。

今日はコロナワクチンの話題です。

最近ニュースなどで【CDC】という言葉を耳にされた方もいるかもしれません。

アメリカ疾病予防管理センター（Centers for Disease Control and Prevention: CDC）は、アメリカ合衆国の感染症対策の総合研究所です。

CDCから、ファイザー社の新型コロナウィルス (COVID-19)ワクチン接種後のアレルギー反応についての報告がなされました。

この報告について（簡単に）紹介させていただきます。

2月23日(火)のブログでアレルギー反応についてお話ししました。

『アナフィラキシー』はアレルギー反応の一種で、急に発症して生命を脅かすほど重症化することがあります。医療現場でも一刻を争う病気です。

『ハチに刺された人が2回目にハチに刺された時にアナフィラキシーになった』というエピソードは有名ですが、食事や薬のアレルギーでもアナフィラキシーを起こすことはあります。

アナフィラキシーの初期症状は、不安な感じやチクチクした感覚、めまいが多いと言われています。

その後たちまち症状が悪化し、全身にかゆみやじんま疹、腫れが出たり、呼吸がゼーゼーしたり呼吸困難が起きたり、血圧が下がると失神したりします。嘔吐や腹痛、下痢など胃腸系の症状がおこることもあります。

予防策はアレルゲン曝露を避けること（アレルギーを起こす食べ物を食べない、花粉症の人がゴーグル・マスクをする、など）です。

もしアナフィラキシーが起こったら緊急の治療（エピネフリン筋注）が必要です。

PS: 研修医時代、野戦病院のような施設でしたのでアナフィラキシーの症例を多く経験しました。

ピーナッツアレルギーの方が、結婚式披露宴でドレッシングに混入したピーナッツのひとかけらを食べてしまい呼吸困難で救急搬送されたケースや、サバアレルギーの方が、どうしてもサバ寿司を食べたくて一口食べたら嘔吐後に唇が腫れて血圧低下しショック状態で救急搬送されたケース、など。

CDCは、2020年12月14日〜23日にPfizer-BioNTech COVID-19ワクチン接種後のアレルギー反応について報告しました（URLは上記）。

ワクチン投与は1,893,360回実施され、うち4,393人（0.2%）で有害事象が報告されました。

この中でアナフィラキシーは21人（100万回接種あたり11.1人）で、そのうち17人が過去に食品・薬・虫刺されなどでアレルギーを起こしたことのある人でした。

17人のうち7人は過去にアナフィラキシーを起こした人でした（1人は狂犬病ワクチン接種後、もう1人はインフルエンザワクチン接種後のアナフィラキシー歴）。

また、21人中19人（90%）は女性でした。

ワクチン接種からアナフィラキシー症状発現までの時間は、15人（71%）が15分以内、3人（14%）が15〜30分以内、3人（14%）が30分後に発症しました。

アナフィラキシーを起こした21人中19人はエピネフリンを注射されました。死亡者はいませんでした。

ワクチン接種後のアナフィラキシーは11.1人/100万ですのでまれな出来事です。

ただ、以上をふまえると

①過去のアレルギー歴を確認すること

②アレルギー歴に応じて、ワクチン接種後に15~30分の観察期間を設けること

③ワクチン接種後のアナフィラキシーに備えるためエピネフリンを準備すること

は重要と考えられます。

①について、当院では１度に３９種類のアレルギーの有無を調べる採血検査も実施しています。

希望される方は電話予約か診察時におっしゃってください。

｟かきざき糖尿病内科クリニック｠　

　〔花粉症や不眠・貧血などの一般内科外来〕

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（弘前のハシモトベーカリーさん。おいしかったです）