2022/03/23
青森市, 雪かきシーズンが終わって
毎年、糖尿病内科医は夏が終わるとソワソワします。なぜなら、その後に来る【果物の秋】【御馳走の冬】【寒い時期の運動不足】のせいで患者さんの血糖値が上がらないか心配になるからです。
今年、その心配は(ほぼ)杞憂に終わりました。
豪雪だったおかげか、皆さんのHbA1cはよく下がった印象です。
豪雪 = 雪かき = 運動療法 = 糖尿病よくなる、の式です。今日は運動療法のおはなし。
糖尿病と運動療法
医者から『運動しましょう』と言われてテンションが上がる人は少ないです。
『運動』=『まとまった時間を作ってジムや体育館などで体を動かすこと』と思っている人が多いですが、それは少し違います。
『運動』=『日常の中で体を動かすこと』が正解です。
(注)
・心臓や腎臓に持病のある方へ:主治医に運動の可否を確認してください。
・インスリン・インスリン分泌促進薬などを使用している方では低血糖のリスクがあります。運動の方法や低血糖時の対処を主治医と相談してください。
①こまめな運動
『日常の中で体を動かす時間を増やすこと』
エレベーターでなく階段を使う。通勤で自転車をこぐ。スーパーまで歩いて行く。雪かきをする。立った状態でデスクワークや会議をする。貧乏ゆすりをする、などなど。(立つことや貧乏ゆすりも運動強度:1.8メッツの『運動』です)
運動は、お金や時間のかかるものは(楽しめるものでない限り)長続きしないと思います。日常の中での運動を増やしましょう!
(例1)
自分ルールの1つを紹介します。
『診察室で患者さん1人の診療が終わった際に、患者さんファイルを自分で受付会計まで持って行く』です。
スタッフさんに運んでもらうこともできますが、それだと外来診療の7時間が座りっぱなしになってしまいます。ファイル運びの動作は、【椅子から立ち上がる→早足で8歩あるいて受付まで行く→ファイルをボックスにいれる→早足で8歩あるいてデスクに戻る→椅子に座る】という流れです。1日で患者さんが50人いれば、この動作を50回やることになるので、けっこういい運動です。また、自分でファイルを運ぶぶん、スタッフさんが他の仕事をできるので一石二鳥です。
一石二鳥といえば、ちょっと前に大学病院の外来でこんな人がいました。
(例2)
(診察室での会話)
自分
『〇〇さん、すごくHbA1cが下がってますね!前回から薬は増やしていていないのに。。食事か運動をがんばりましたか?!』
糖尿病の〇〇さん
『空き時間にウーバーイーツのバイトを始めました。ウチの会社は副業OKなんです。運動(自転車で配達)できて、お金も稼げて一石二鳥ですよ』
自分
『いいアイディア笑。交通事故に注意してね!』
雪かきも一石二鳥パターンですね(雪が片付いて運動もできる)。あと、運動は負荷の強さ(キツさ)よりも、時間の長さの方が大切です(軽い運動でもいいので長めにやること)。
②筋トレ
これは積極的に取り組んで頂きたいです。
運動というと有酸素運動(上記の運動)が重視されますが、筋トレ(レジスタンス運動)もとっても大切です。
加齢により筋肉量が少なくなります(サルコペニアといいます)。そして糖尿病の人は特に足の筋肉が減りやすいことが知られています。足の筋肉量がある一定のところまで落ちると日常生活ができなくなってしまいます(介護、寝たきり)。
筋トレ方法は今日は詳しく書きませんが、今後の糖尿病教室の時にお伝えしようと思います。重いダンベルを持つ必要はないです。何かにつかまりながらのつま先立ちも立派な筋トレです。筋トレは低負荷でも筋肉の量・質を高めるのに効果があります。将来寝たきりにならないためにも、若いうちから下半身の筋トレをしましょう。
※インボディ(体組成計)で筋肉量や脂肪量を測定することができます。無料ですのでご希望の方は気軽に言って下さい。
(当院のインボディ)
③最後に
クリニックの昼休みにまとまりなく色々書きました。
いちばん大事なことは『楽しめること』かなと思います。
『友人に会うのが楽しいからカーブスに行く』『ゴルフのスコアを伸ばしたいから筋トレする』『山道を散歩するのが楽しい』『サーフィンが好きだから冬でも海に行く』などなど。
春は何か新しいことを始めるにはいい季節ですね。まだ運動習慣がない方はぜひ何かを始めてみてください。
おわり
(今日の昼食:菜の花と全粒粉パスタ)
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今後、運動療法についてもこまめに書いていきます。
運動指導もしっかり行うことができる糖尿病クリニックを目指していきます。
2022年3月23日 15:13
⦅ かきざき糖尿病内科クリニック ⦆
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