2024/03/02
こんにちは 管理栄養士の下山です。
1年の中でも生活環境の変化が大きい”3月”がやってきました。
お仕事で転勤がある方は引越しなどでバタバタの時期かと思います。
忙しくなると外食が増えたり、ストレスで間食が増えたり食生活が疎かになりがちですが、できる範囲で体を労った食生活を意識していただきたいと思います。
ご報告が遅れてしまいましたが2月の16・17日の2日間、京都で行われた学会「糖尿病の進歩」に参加しました。
今後の糖尿病診療で留意すべき点など、たくさんの学びを得ることができました。
(学会会場です)
栄養に関しては高齢化が進む中での健康寿命延伸のを目標としたサルコペニア予防のための積極的なたんぱく質摂取に関する内容が注目されていました。
昨今、市販されている食品で高たんぱくと表記されているものが非常に増えたように思います。
高たんぱくヨーグルト、プロテインバー、そのほかパンやお菓子など種類は本当に様々です。
今回の学会では高齢者に関わらず、たんぱく質を十分に摂取することは糖尿病管理のうえで大変重要であると再認識しました。
その学びをみなさんにもお伝えしたく、こちらのブログを作成しました。
糖尿病の発症及び重症化予防のためにもサルコペニア予防が重要
サルコペニアとは高齢期にみられる骨格筋量に減少と筋力もしくは身体機能(歩行速度など)の低下と定義されています。
身体機能の低下とともに耐糖能の低下へも繋がり、サルコペニアの発症は糖尿病発症や血糖コントロール悪化のリスクとなることが知られています。
このような事態を未然に防ぐために、近年筋肉をつくるもとであるたんぱく質の摂取が積極的に推奨されるようになりました。
診察室で先生から「肉・魚きちんと食べていますか?」と聞かれるのはこのためですね?
BMIが正常でも”隠れ肥満”に要注意
筋肉量の低下は高齢者だけの問題かといわれるとそうではありません。
みなさんBMIという指標をご存知でしょうか?BMIは身長と体重から計算される体格指数というものです。
現在の体重が適切かどうかを判断する指標で、健康診断の結果にも記載されているのでご覧になったことがあると思います。
●BMI(kg/㎡)=体重(kg)÷身長(m)
18.5kg/㎡未満:低体重(痩せすぎ)
18.5〜24.9kg/㎡:標準
25.0kg/㎡以上:肥満
しかしBMIが正常範囲内だから一安心というわけではないのです。
BMIとあわせてチェックしたいのが体脂肪率。
BMIは正常で太っているわけでもないのに体脂肪率が高い方がいます。
それはいわゆる隠れ肥満とされる方で筋肉量が少なく、脂肪はしっかりついているというタイプです。
筋肉は脂肪よりも重く、筋肉量が少ない場合ではその分体重も軽くなるため体重測定だけでは気づくことができないところです。
・デスクワーク中心であまり動かない
・家の中で過ごすことが多い
・運動習慣がない
など日常生活における活動量が少ない方は年齢に関わらず要注意です。
内臓脂肪が過剰に蓄積すると、インスリン抵抗性の原因となり血糖値が下がりにくくなってしまいます。
よって糖尿病がある方には体重だけでなく、体組成も意識していただきたいと思います。
(当院の体組成計 : InBody470)
筋肉をつくるには十分なたんぱく質が必要
筋肉はたんぱく質からできています。
筋肉を増やしたいと思ったときにはたんぱく質を多く含む食品、具体的には肉・魚・卵・大豆製品を普段の食事で十分に摂取する必要があります。
またたんぱく質は1日で同じ量を摂取するとしても、筋合成の点から見ると大量にとるよりも朝・昼・夕の食事ごとに分けて摂取することが望ましいとされています。
夕食のたんぱく質はほとんどの方が十分にとれているかと思いますが、問題は朝食と昼食です。
栄養指導中でよくあるのは
・朝食を食べない(起きられない、空腹感がないため)
・食べてもコンビニおにぎりのみ、トーストとコーヒーのみなどたんぱく質が不足した朝食
・昼食はパン、麺類のみ
という事例です。
特に年齢を重ねるとともに食が細くなり、食事量自体が落ちている方が1食抜いてしまうと必要量を確保するのはかなり難しくなります。
どうしても時間がない、食事が充分量とれないという方ではプロテインを活用するのも有効です(糖尿病がある方は砂糖不使用の製品推奨)。
まとめ
年齢に関わらず、筋肉量をしっかりと保ち、余分な内臓脂肪を溜めないということは糖尿病管理のうえで非常に重要です。
そのためには
・ご自身の体組成を知る
・たんぱく質を豊富に含む食品(肉・魚・卵・大豆製品)を毎食摂取する
※難しい場合はプロテインなどの補助食品も検討
・運動習慣を持つ
ということが大切です。
体組成は当院のIn Bodyという体組成計でどなたでも無料で測定が可能です(ペースメーカー使用中の方は不可)。
また運動習慣について、今現在全くない方はまずは座位時間を減らす、近場の買い物や通勤は歩くなど小さなことから始めてみましょう。
食事についてはみなさんそれぞれ適したカロリーや必要なたんぱく質量が異なります。目安量や献立例など気になることはいついでもご相談ください。
今現在できていないことも少しずつ着手し無理なく習慣化することで、老後も元気な体づくりを目指していきましょう。
(お稲荷さんの総本宮、伏見稲荷大社)
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2024年3月2日 10:50
⦅ かきざき糖尿病内科クリニック ⦆
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