2024/11/04
みなさんこんにちは 管理栄養士の下山です。
気温の低下とともに暖房が必須となり、乾燥しやすい季節になってきました。
突然ですが、みなさんは寒い時期でもきちんと水分をとっていますか?
「夏のように汗もかかないし、そんなにとらなくてもよいのでは?」
そう思われる方が多いかもしれません。
実は寒い時期でも発汗の有無に関わらず、呼吸や皮膚・粘膜からの水分の蒸発(不感蒸泄)により常時失われているのです。
その量は成人でなんと約900mL!
無意識にペットボトル2本分近い水分が失われていると思うと驚きです。(写真は1本500mLのペットボトル)
水分補給が不十分だと体の中で少しずつ脱水が進行し、自覚症状を感じるほどではないかくれ脱水へと繋がります。
今回はかくれ脱水を予防するためのポイントについてお伝えします。
かくれ脱水は自覚症状がなく気付きにくい
かくれ脱水とは明確な症状が現れにくいものの、実際には体内で脱水が進行している脱水症になる手前の状態のことです。
気付きにくいため放置されることも多いことから、加齢によってのどの渇きなどを感じにくい高齢者では特に注意が必要です。
ご自身の体調を振り返ってこのようなサインがあればかくれ脱水の可能性があります。
【かくれ脱水チェック】
・口の渇き、唾液の減少
・唇、舌、肌の乾燥
・疲労感、だるさ
・立ちくらみ、めまい
・尿の色が普段より濃い
・便が硬い
1日に必要な水分の量
一般的な人の体内での水分の動きはこのようになっています。
経口摂取(飲水+食事)によってとるべき水分量は2.2Lほどです。
こうしてみると”1日に飲む水分の量は1L以下”という方では明らかに水分が不足していまいます。
そのほか食事の中のお米や野菜、魚や肉なんかにも水分は含まれていますので
・体調不良で食事がとれない
・忙しくて食事を抜きがち
という方では食事の栄養素はもちろん水分も不足しがちになります。
体格や運動量の差によっても必要な水分量は個人差がありますので、仕事や運動で汗をかく習慣がある方はさらに追加で水分をとるよう意識しましょう。
こまめな水分補給は体へのメリットがたくさん
かくれ脱水は脱水症の一歩手前。そのまま見逃してしまうことで脱水が進行すると体の中で様々な悪影響が生じます。
一方でこまめな水分補給を習慣づけることでこんなに多くのメリットがありますよ。
血栓予防
脱水状態では血液が濃縮され、ドロドロになることで血栓ができやすくなります。
この血栓が心臓や脳の血管を詰まらせて血流を妨げると心筋梗塞や脳梗塞といった深刻な状態を引き起こす可能性があります。
糖尿病患者さんでHbA1cが7%を超えている高血糖の状態が慢性的に続いている場合では日に日に動脈硬化が進行し、血管の内側が硬く、狭くなっていくことで心筋梗塞や脳梗塞といった合併症のリスクが高くなっています。
このような深刻な合併症を予防するためにも水分はしっかりとりましょう。
腎機能の保護
脱水が進行すると体全体の血液の総量が減少し、腎臓に流れる血液が不足します。
腎臓は血液を濾過して代謝によって生じた老廃物を尿として排出する役割を担っているため、十分な血流がないと腎機能が低下してしまいます。
脱水状態になると体は水分を保存しようとして尿量が減少し、これにより体内の老廃物の排出が不十分になり腎臓に負担がかかります。
しっかりと水分をとることで十分な尿量を確保でき、それによって体内の不要な物質の排泄もスムーズにおこなわれます。
※透析療法中で水分制限のある方はこの限りではありません。主治医の指示に従いましょう。
便秘予防
脱水と便秘には密接な関係があり、体が脱水状態になると、腸内の水分が不足し便が硬くなります。
また、水分不足の便はかさも減ることで腸壁を刺激しにくくなるため、蠕動運動(ぜんどうんどう)も活発になりにくくなります。
一方で水分が十分にとれていれば、適度に水分を含んだ腸内を指導しやすい硬さの便となり、水分で便のかさも増すため腸壁を刺激して蠕動運動も活発になります。
風邪などの感染症予防
水分補給は風邪を予防する対策の一つとしても重要です。
粘膜は水分が不足すると十分な能力を発揮できず、ウイルスや細菌などに侵入されやすくなってしまいます。
こまめな水分補給は喉や鼻の粘膜を潤してウイルスの侵入を防ぎ、侵入したウイルスを痰や鼻水によって体外に排出する作用を助けてくれます。
対策はこまめな”水分補給”と”食事”
のどの渇きに関わらず、食事ごとに1杯、起床時に1杯、お風呂上がりに1杯というようにあらかじめ水分をとるタイミングを決めておきましょう。
また欠食や極端に少ない食事は水分量も不足してしまうため、必要量はしっかりとることが大切です。
飲み物はカフェイン、アルコールを含むものには利尿作用がありますので、水分補給として飲むなら水や白湯、ノンカフェインのお茶(麦茶、玄米茶、黒豆茶、ルイボスティーなど)がおすすめです。
まとめ
いかがだったでしょうか。
脱水=夏というイメージが強いですが、自覚症状を感じにくく知らず知らずのうちに進んでいるのが寒い時期のかくれ脱水です。
・1日に必要な水分量がとれているか
・水分補給に適した飲み物の選択ができているか(利尿作用があるものばかりに偏っていないか)
この2点を意識して、寒い時期でもしっかり水分をとりましょう♪
ノンカフェインのものは”カフェインゼロ” ”ノンカフェイン”と表記されているものが多く分かりやすいですね☆
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2024年11月4日 12:15
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