『シックデイ』ご存知ですか?

シックデイって何?

 

シック(sick)は『病気の』という意味、

デイ(day)は『日』です。

合わせると、シックデイ(sick day)=『病気の日』となります。

 

糖尿病の方が風邪や胃腸炎など何か急性の病気にかかると、体にストレスがかかり普段のように食事が取れなくなります。この状態をシックデイと言います。

シックデイの原因は他にも、寝不足や生活のストレス、手術などもあります。

シックデイになると、ストレスホルモン(コルチゾールやアドレナリンなど)が分泌され血糖値が上がりやすくなります。

その一方で、薬物療法をしている患者さんが食事を摂れないないにもかかわらず普段通りに内服や注射を行うと、低血糖をきたす危険もあります。

 

つまり、シックデイでは血糖コントロールが乱れやすくなるので、早めの対処が必要となります。

 

シックデイの対処

①脱水対策

水分摂取が大切です。水かお茶を1日1000~1500mLは飲んでいただきたいです。

スポーツドリンクや栄養ドリンクには糖分が多く含まれていますので飲用を控えて下さい。

(500mLのスポーツ飲料に角砂糖 約6個!!です)

 

②エネルギー不足対策

 

シックデイで絶食状態にならないことが大切です。

お粥や煮込みうどんなど、消化の良い炭水化物の摂取をお勧めします。

もし食事をとれない状態であれば早急に医療機関に連絡してください。

糖尿病ケトアシドーシスなどの重篤な状態を引き起こすことがあります。

 

シックデイの時、クスリはどうする?

 

?ビグアナイド

(メトホルミン®︎, メトグルコ®︎など)

シックデイでは服用を中止します。乳酸アシドーシスを誘発することがあるためです。

 

?α(アルファ)-グルコシダーゼ阻害薬

(ベイスン®︎, セイブル®︎, グルコバイ®︎など)

シックデイで消化器症状が強い時には服用を中止します。

 

?SGLT2阻害薬

(カナグル®︎, ジャディアンス®︎, スーグラ®︎など)

シックデイでは中止します。脱水のリスクが増すためです。

 

?SU薬(アマリール®︎など)

食事の内容によって量を調節します。

 

?グリニド薬(速効型インスリン分泌促進薬)

SU薬と同様、食事量に応じて量を調節します。

 

?DPP4阻害薬

(エクア®︎, ジャヌビア®︎, テネリア®︎, トラゼンタ®︎など)

単剤では低血糖は起こりにくいですがSU薬との併用では低血糖が起こることがあります。食事がとれなければ服用を中止します。

 

?インスリン治療中の方の注意点

食事を取らなくても持効型インスリン(トレシーバ®︎, ランタス®︎など)は注射します。超速効型インスリン(ノボラピッド®︎やヒューマログ®︎など)は食事摂取量に合わせて投与量を調整します。

 

?GLP-1受容体作動薬

(ビクトーザ®︎, オゼンピック®︎, トルリシティ®︎など)

吐き気や嘔吐を起こすことがあります。シックデイでは基本的には使用を中止します。

 

?配合薬について

シックデイの際には薬剤によって対応が違います。

そのため、服用している配合薬がどのクスリとクスリで構成されているのかを把握しておく必要があります。

普段から主治医か薬剤師に確認しておくことが大切です。

 

早めに医療機関へ連絡を

これが一番大事です。

 

上記のようにシックデイの対応は患者さんによって異なりますので自己判断ではなく医師への相談を早めにおこなって欲しいです。

過去に、糖尿病で通院されていた方が風邪を引いた際にゼリー型の栄養ドリンクを飲用し、血糖が900mg/dLくらいまで上昇して意識障害で救急搬送された、という事例もありました。。

糖尿病の方が具合の悪い時には、まずはお電話をいただければと思います。

よろしくお願いいたします。

 

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