2021/03/31
おはようございます。
3月31日(水)11:00AM, 青森市は晴天です。だいぶ暖かくなってきましたね。
本日は、患者さんからの質問がもっとも多い『糖尿病のやせるクスリ』についてお話しします。
GLP-1(ジーエルピーワン)って何?
GLP-1(glucagon-like peptide-1)は、食事をした時に腸から出るホルモンです。
GLP-1の働きは大きく2つあります。
①血糖値を下げる
GLP-1は膵臓(すいぞう)を刺激してインスリンを出させ、血糖値が下がります。
②体重を減らす
食欲を抑えます。また、胃の中にある食物を腸に送り出すスピードを緩やかにする作用もあります。
GLP-1受容体作動薬
GLP-1受容体作動薬は、体の外からGLP-1を補うクスリです。(①血糖値を下げる)(②体重を減らす)の効果があります。
①について、GLP-1受容体作動薬で特徴的なのは、食事をしていないとき、つまり血糖値が高くないときには作用しない(血糖値を下げない)ことです。
低血糖を起こしにくいクスリだと言われています(ただし他の糖尿病薬と併用する時には低血糖のリスクが上がる可能性があります)。
②について、日本では2型糖尿病の方にのみ保険適応ですが、海外では肥満症にも用いられています。
薬剤によってはかなり食欲が落ちます。昨年10月に発売されたオゼンピック®︎について、現在当院では40人ほどの方が使用していますが『間食をする必要がなくなった』『食事をたくさん食べられなくなった』という感想が多くあります。
剤形は飲み薬と注射薬があります(飲み薬は今年の2月に発売された新薬です.リベルサス®︎)。飲み薬は1日1回、注射は1日1回、1日2回、そして1週間に1 回のタイプがあり、患者さんの病状や生活スタイルによって使い分けます。
GLP-1受容体作動薬は自分の膵臓からインスリンを出させるクスリなので、膵臓からインスリンを出すことができない方(1型糖尿病や、膵臓のインスリンの出が悪くなった2型糖尿病の患者さん)には向いていません。
GLP-1受容体作動薬の副作用
使い始めに吐き気、下痢、便秘などの胃腸症状があらわれることがあります。
多くの場合、しばらくするとおさまりますが、症状が気になる場合は主治医に相談してください。
心臓・脳・腎臓の保護効果
GLP-1受容体作動薬の中には、心筋梗塞や脳卒中などの発症を抑える効果が認められている薬剤があります。また、腎臓を守る効果についての報告もあります。今後のさらなる研究結果が待たれるところです。
以上簡単ではありますがGLP-1について書きました。
糖尿病は血糖値を下げることも大事ですが、それと同じくらい余分な体重(脂肪)を減らすことも大切です。なぜなら余分な脂肪は血糖値や血圧、コレステロールを上昇させ動脈硬化を進めるからです。
当院では(体重を減らす)ことを、患者さんの努力のみに頼ることなく医師や管理栄養士、看護師のチーム一丸となってサポートしていきたいと考えています。
ご質問ありましたら気軽に聞いてください。
おわり
(日の出直前の三沢の海です)